牧師室の窓から 2022年6月

牧師 田村 博

「牧師室の窓から」                  牧師 田村 博

☆牧師館から教会に向かって歩いていると、すれ違ったご夫婦が交わしている会話が聞こえてきました。(夫)「(会堂を指差しながら)きれいな教会だね!」(妻)「ほんと!」-真っ白な会堂の壁、そして真っ白な塀。心を込めて築き、メンテナンスを重ね、また、敷地内の草木の手入れを黙々としてくださっている一人ひとりへの神様からの“声のご褒美”のように感じました。感謝!

☆ウクライナ・ロシアの戦争は、世界各地に影響を及ぼしていますが、特に経済力・国際競争力の弱い国々では、深刻度が一層です。インドの南に接するスリランカ(旧・セイロン)もその一つです。教会学校では、毎年、レントの期間に克己献金を呼びかけ、保護者の方々、教会員の方々にもご協力いただき、その全額を外部の必要としている働きにおささげしていますが、今年初めて北海道(函館市)とスリランカに拠点を構える国際NGO「アプカス」という団体にもおささげいたしました。アプカスは英語表記では「APCAS」で、Action for Peace, Capability and Sustainabilityの頭文字をとったものですが、同時にアイヌ語で「歩く」を意味しています。スリランカでは内戦が続いており、その紛争地域の教育レベルは著しく低下し、貧困の連鎖拡大をもたらしています。約4割の子どもたちが自分のIDカードすら読むことができないといった地域で、アプカスは他のNGO団体と協力しながら「読み書きクラブ」を開いています。また去る4月30日には、アプカスが力を入れている活動の一つ「視覚障がい者の自立支援」の働きが地方新聞で写真入りで紹介されました(信濃毎日新聞・夕刊)。日本生まれの「指圧」を紹介し、指圧師を訓練し、視覚障がい者にとっての「Sustainability(持続可能性)」を十分に意識した働きを継続しています。なぜ、日本から遠く離れたスリランカの働きのことを知ったかというと、この団体の設立者であり理事である石川直人さんのお父様が、わたしの前任地である調布教会の役員・教会学校校長であったからです。調布教会ではアプカスの働きをおぼえて毎年クリスマス献金をおささげしていました。さらに数年前には直人さんとニシャンティさん(スリランカ出身)の結婚式が調布教会で行われました。司式をさせていただいたことを通して、さらにその距離が縮まって今日に至っています。

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