牧師室の窓から 2013年1月

★毎年、新年になると、河野進先生の詩集『母よ、幸せにしてあげる』を読みます。 牧師・伝道者としての原点を確かめ、襟を正して新しい年の歩みを始めるためです。河野先 生は長年、岡山で伝道された牧師です。1月6日の週報や、寒中見舞いのはがきにも紹介し ました。 《一人も》   世界中に 病む人が一人もいなくなるまで 主イエスは病んでくださる   貧しい人が一人もいなくなるまで 主イエスは貧しくなってくださる   罪人が一人もいなくなるまで 主イエスは十字架を背負ってくださる   わたしよ そっぽを向いておられるか 《底》   どのような深い海にも かならず底がある   貧しさにも 苦しみにも 悲しみにも 闇にも かならず底がある   地球の底から希望の太陽がのぼる    混沌とした時代ですが、河野先生の詩に励まされ、希望を証し続ける一年をと願っています。

★もう一つ、新年に読むのが、戦後の冷戦時代に国連事務総長として尽力したハマーショル ドの日記『道しるべ』です。読んでいていつも思いを深くさせられるのは、「孤独が苦しくて ならぬのは ― だれひとり、重荷をともに担う者がいないからではなく、むしろ、私が 自 分の重荷しか担っていないからだ」という一節です。あれだけ世界平和のために尽くされた ハマーショルドが覚える「孤独」とは質が違いますが、牧師も孤独を覚えます。自分の重荷 しか担うことがないようにと、祈るものです。 今年、特に目に留まったのは、「さらに前へ!御身はひそかに命令したもうた。いつまでも、 それが聞こえますように―そして従うことができますように!   さらに前へ!いかに遠い道のりをたどりきったのであろうと、一休みする権利が与えられ るわけでない。  さらに前へ!山頂寸前のあと何歩かを登りつめるにあたっての注意こそ、それまでのすべ てに価値があったかどうかを左右するのである」という一節です。  牧師として歩む年月が限られてきています。この一節を心に刻み、励みたいと願っています。この一年もどうか小さき者のためお祈りください。

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