牧師室の窓から 2011年8月

★基督教独立学園で永年教えておられた奥田貞子さんが、7月8日96歳で召されま した。奥田さんは1945年8月6日瀬戸内海の静かな島にいましたが、8月7日広島 に入り、薬局をしていた叔父さんの家に泊まりながら8日間お兄さんの子ども二人を 探しまわりました。その8日間の日記を『ほのぐらい灯心を消すことなく』という題 で出版されました。奥田さんは「あの八日間は、わたしにとって、ながいながい、く るしみ、悲しみ、いかりの日々でした。戦争とはこんなにもざんこくなもの、つみぶ かいもの、小さなものをくるしめ、悲しめるものであることをおもいしらされました。このことをどうか、今のわかい人、戦争をしらない人にわかっていただきたいとおも います。この記録は、当時の日記からかきまとめたものです。これによって、みなさ まも、ともに平和をいのってくださいますようにと、心からねがっております。」そして、その日記の一部が『ルミちゃんの赤いリボン』と『ケイコちゃんごめんね』という絵 本になりました。いずも絶版です。

★けれども66年後、フクシマの子どもたちを苦しめ、悲しませる出来事が起こって しまいました。8月17日、福島県内の子どもたちが衆議院第一議員会館で政府の原 子力災害対策本部や文部科学省の担当者に直接、今の思いを伝えました。「転校はと ても悲しかった。福島原発は東京の電気を作っていたのに、なぜ私たちがつらい目 にあうのか分からない」「わたしはふつうの子どもを産めますか? 何さいまで生き られますか?」
  奥田貞子さんの祈り、願いに応えることが出来ず、フクシマの子どもたちに大きな 犠牲を強いていることに私たち大人の責任を強く覚えます。

★6日の広島の平和祈念式で6年生のこども代表が、『平和への誓い』を述べました。 「悲しみに満ちた広島に草木が芽生えました。人々は、平和への強い思いをもって復 興に向けて歩みはじめました。未来をつくるのは人間です。喜びや悲しみを分かち合い、あきらめないで進めば、必ず夢や希望が生れます。わたしたちは、人間の力を信じて います。人間は、相手を思いやり、支え合うことができます。人間は、互いに理解し 合い、平和の大切さを伝え合うことができます。」 
 ヒロシマの子どもたちのメッセージに励まされ、相手を思いやり、支え合い、理解   し合う平和の大切さを世界中の子どもさんと共有したいと願うものです。

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