牧師室の窓から 2019年3月

✩8年目の「3・11」を迎えました。『信徒の友』の「日毎の糧」では3月5日から福島県の教会を覚えて全国の教会が祈っています。7日の浪江伝道所の祈りの課題は「震災と福島の原発事故から8年になろうとしている今も、伝道所としての主日礼拝は守れない状況です。原発事故の記憶が風化されないことを願っています」です。11日の川俣教会の祈りの課題は、「大震災後休止していた教会学校を2018年7月より再開でき感謝です。大震災で町の過疎がさらに進んでいますが、普段の礼拝や祈祷会、活動が祝されますように」です。27日の常磐教会の祈りの課題は、「東日本大震災で全壊し、再建した新会堂を用いて地域に開かれた教会を目指しています。特に原発による避難者に寄り添い、歩んで参ります」です。震災で全壊した会堂を再建できた、教会学校を再開できたという新たな動きがある一方、8年経っても礼拝を守ることができない伝道所があります。また、大震災で町の過疎がさらに進んでいることを知って欲しいと願う教会があります。被災地にある教会、伝道所のこうした痛みを、苦悩を全国の教会が祈っていかなければならないことを深く思わされます。

✩2月23日開催された神奈川教区総会で、秦野西教会からの3月末での解散申請が「断腸の思い」で承認されました。秦野西教会は1966年開設されました。教会の土地所有者から教会用地の返還要請があり、礼拝出席者の減少もあり、教会では解散を決断しました。教区内の大切な枝である一つの教会の苦渋をどこまで共有してきたかを問われました。秦野西教会が今日まで蒔き続けたみ言葉の種がこれからも成長し、実を結び、花を咲かせることを信じ、祈るものです。  

わたしはこうした「断腸の思い」を二度経験しています。最初は花輪教会です。奥羽教区在任中、代務者を務めたことがあります。秋田県で一番北にある教会でした。教会が大好きな方々がおられましたが、高齢化、過疎のため解散せざるをえませんでした。二度目は広島のぞみ教会です。現在、当教会員の馬場ツナ姉そして神学生時代、当教会で夏期伝道実習に従事し、現在、松永教会牧師の吉武真理教師は広島のぞみ教会が解散したので、広島教会に転じて来られました。広島のぞみ教会は川崎信市牧師が開拓しました。教会に連なるお一人お一人を大切にされ、高齢になってからもバイクで訪問しておられました。川崎牧師は奥様がご病気になり、解散を決断されました。解散せざるをえなかった教会の苦渋の決断を、涙を大切に受け継ぐ日本基督教団でありたいと願わずにいられません。

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