牧師室の窓から 2019年2月

✩わたしたちの教会の最高齢の本村範夫さんが2月12日、静かに召されました。あと17日で101歳のお誕生日を迎えるところでした。本村さんのご逝去の知らせを聞いたとき、どなたも昨年の3月4日(日)の礼拝後に行った、3月1日に100歳になられた本村範夫さんのお誕生祝いのことです。本村範夫さんは礼拝堂の右側の最前列の指定席にお座りでした。最初にみんなでこども讃美歌80を歌いました。「生まれる前から 神さまに 守られてきた友だちの 誕生日です おめでとう。生まれて今日まで みんなから 愛されてきた友だちの 誕生日です おめでとう」そして祝福の祈りをささげ、花束を差し上げ、ハッピバースデーを歌いました。本村さんは本当にうれしそうにニコニコしておられました。

 本村さんの葬儀の翌々日の礼拝で耳を傾けたのは、サムエル記上3章でした。神さまから「サムエルよ」と呼ばれたとき、サムエルは「しもべは聞きます。主よ、お話しください」と答え、神さまが語ることに耳を傾けました。33歳のときに洗礼をうけた本村さんは、サムエルのように、祈ること、神さまが自分に語ろうとしておられることに耳を傾けることを大切にしました。59歳の時祈りの中で示され、社会事業に献身するため会社に辞表を出しました。施設の責任者として尽力され、70歳で大学の研究科に入学し、社会福祉士を取得し、80歳のときにはケアマネージャーの実務研修受講試験に合格されました。

本村さんの祈りが『月報』に掲載されています。こういう祈りです。「順境の時も失意の時も,与えられているものに不足を言わないで精一杯努力できますように。また隣人をかえりみることができますように。」

精一杯努力され、隣人に仕えた101年のご生涯でした。

 本村さんの葬儀の時、ドイツの神学者ツインクの『わたしはよろこんで歳をとりたい』という本にある「神へのひそかな祈り」を紹介しましたが、この本の最後の方にこういう文があります。

「信仰とは聴くことである いのちが 静けさのなかで はるかな はるかな音として 聞こえてくるように 最期のとき 静けさのなかで あの永遠に変わることのない 別の世界の音楽が わたしには 聞こえてくることだろう」

 本村さんも、最期の時、静けさの中で聞こえてきた永遠の世界の音楽に耳を傾けつつ召されたのではないでしょうか。

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