牧師室の窓から 2016年12月

★クリスマスおめでとうございます。つらい、悲しい,心痛むニュースが国の内外から伝えられる中でのクリスマスです。希望を見失いそうな世界ですが、「布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子」(ルカ2:12)が救い主のしるしだという天使の言葉に、「さあ,ベツレヘム行こう」と立ち上がった羊飼いたちのように、わたしたちもイエスさまの誕生によって灯されたまことの光を「わが道の光、わたしの歩みを照らす灯」(詩篇119:105)として歩み続けましょう。

★今年のクリスマス礼拝で一人の姉妹が洗礼を受けます。洗礼式のとき、いつもその人の「心の旅」の重さを思わされます。今回洗礼を受ける方は、自分のお母さんの心の旅を大切にしてきました。  4年前の10月、教会に電話がありました。母親が昨日亡くなった、葬儀をして欲しい、という依頼でした。わたしは、葬儀を依頼された時は、必ず二つ返事でお引き受けすることにしていますので、すぐ遺体の安置されている式場に行き、臨終の祈りをささげました。その後、家族との葬儀の打ち合わせのとき、母はこれを大切に持っていました、と言って差し出されたのが、故人の「幼児洗礼証」でした。こう記されていました。「證 山口懸萩町 武田洋美 昭和参年参月廿九日生 千九百貮十九年四月十貮日 父子聖霊之聖名ニヨリ洗禮シタルモノナリ 昭和四年四月十貮日 日本基督教會教師 佐々木純一」 母親は19歳のとき、萩教会で信仰告白し、その後、結婚して豊中教会に転会し、今日に至ったが、高齢になり弱ったので、茅ヶ崎に連れて来て、昨日亡くなった、母親の信仰を大切にしてキリスト教で葬儀をと願い、電話したとのことでした。母親が83年間大切にしてきた「幼児洗礼證」から、87年後、その娘さんが洗礼を受けるという、神さまの御業を心深く思わされ、御名を崇めます。

★馬場芳春さんが12月1日急逝されました。95歳でした。3年前に茅ヶ崎南湖教会に転会されていたので、葬儀は同教会で行われました。馬場さんが茅ヶ崎教会で洗礼を受けたのは1940年、それ以来70数年、茅ヶ崎教会の役員、教会学校校長として尽力されました。65年前の会堂建築のときも先頭に立ちました。馬場さんは今から30年前の教会修養会で「会堂建築と教会形成」と題して発題し、その発題のしめくくりでこう語りました。「私たちの唯一の念願は、百年後に真に道を求める一人の魂を迎えるためにこの教会堂が役立つことです。それを願うものです」、と。馬場さんの信仰を受け継ぐことの大切さを思わされます。

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