牧師室の窓から 2012年7月

★7月16日(月)、代々木公園で開催された「さようなら原発 10万人集会」に妻と共に参加しました。炎天下でしたが17万人余の人々が全国から参加しました。小さな子どもさんを連れた家族ぐるみの参加者や杖をつきながらそして車椅子に乗った高齢の参加者が数多く見られました。もちろん、私どもも夫婦で参加した高齢者でした。集会で音楽家の坂本龍一さんが「電気のために子どもの未来を危険にさらすべきでない」と挨拶しましたが、参加者の共通した思いでした。原宿駅から代々木公園までの道は人であふれ、会場は文字通り人で埋め尽くされました。集会中、2月に骨折して入院しリハビリで労苦していたときに励まされたチベットの女性作家オ―セルさんの言葉を思い起しました。
「中国の苛酷な統治に反対し、チベット僧の自殺が相次いでいるのはチベット人の意思を示しているが、自殺を思いとどまって生きて現実を変えよう。生きている私たちは一滴の水に過ぎない存在だ。しかし、一滴、一滴が合流していけば大海原になる。小さな努力の積み重ねこそ、現実を変えられる。生き抜いて現実を変えよう。」
 私どもを含め、参加者は文字通り一滴のような存在でした。しかし、一滴、一滴が合流していけば大海原になることを実感しました。そして現実を変える力となるという希望を与えられました。

★今、少年。少女たちのいじめの問題が深刻です。いじめられ、自ら命を絶ってしまう若者もいて、大人としての責任を覚えます。いじめの問題で苦しむ若い人たちにもオ―セルさんの「私たちは一滴の水に過ぎない存在だ。しかし、一滴一滴が合流していけば大海原になる、生き抜いて、小さな努力を積み重ね、現実を変えよう」、というメッセージを届けたいと思います。 

★毎年そうですが、8月6日、9日が近づくと緊張した思いになります。先日、広島女学院在学中、被爆した絵本作家森本順子さんが現在住んでいるオーストラリアから久し振りに帰国し、ある小学校で子どもたちの前で一枚の絵を描いている様子がテレビで放映されていました。原爆でお母さんが一瞬のうちに死んでしまったのですが、お母さんが死んだことが分からず、お母さんにすがって泣いている小さな子どもの絵です。80歳の森本さんが67年前に見た光景です。森本さんはこの絵を描きながら何度も何度も目頭を押さえていました。
その光景を見ながらフクシマの人々がこれから何十年も流し続ける涙を思わされました。

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