牧師室の窓から 2008年9月

★9月15日は敬老の日でした。 長年、岡山で伝道された河野進先生は詩人です。先生の詩集、『母よ、幸せにしてあげる』 に、《老人》という詩があります。

   「高い山の頂上に立ち登ってきたけわしい路を 
   楽しそうにふりかえる老人に
   出会う人が自然にほほえむあたたかい老人に
   あたりに明るい雰囲気を配ってあるく老人に
   黙ってすわるだけで慰められる老人に
   こどもがうれしそうに寄りすがる老人に
   小鳥がさえずり若葉がゆれる老人に

河野進先生が奉仕されていた教会に、この詩にうたわれているようなご高齢の方々がおら れたのでしょう。この詩を読むと、私たちの教会のご高齢のお一人お一人のお顔が思い浮か びます。ご高齢の方々お一人お一人がこれからも神様の慈しみ包まれ、御国を目指して歩ん でくださるよう祈るものです。  

★リハビリのため転院された方をお訪ねするたびに、思い起こす歌があります。戦前、長島 愛生園で尽力されたクリスチャンの小川正子医師の短歌です。こういう歌です。

   「葛の花咲き初む秋を山峡の みち分け分けつ病友を尋ぬる」

 小川医師は徒歩で病友を訪ねたのでしょうが、小生は電車とバスで、申し訳ない思いです。 

★現在は途絶えていますが、私たちの教会が、長年大切にしてきたことの一つに、ハンセン 病の療養所、全生園秋津教会との交わりがありました。その交流によって与えられた恵みを 『六十年史』に記しておられる方がいます。私たちの教会が長年、秋津教会と交流しながら 教会形成をしてきたことは、上記の小川医師の短歌の心と通じ合うものがあるのではないで しょうか。

  「わたしに聞け、ヤコブの家よ イスラエルの残りの者よ、共に。
   あなたたちは生まれた時から負われ 胎を出た時から担われてきた。
   同じように、わたしたちは老いる日まで 
   白髪になるまで、背負って行こう。
   わたしたちはあなたたちを造った。わたしが担い、背負い、救い出す。」  (イザヤ46:3~4)

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