牧師室の窓から 2021年7月

牧師 田村 博

「牧師室の窓から」                  

☆ 8月第1主日は平和聖日としておぼえられ、礼拝をおささげいたします。わたしたち一人ひとりが「平和」という言葉をどのようにとらえ、その「平和」が誰のもとに実現しようとしているのかをしっかりと受けとめるべき大切な機会です。わたしたちは誰でも、自分だけが「平和」にあずかることを願ってはいないと思います。より多くの「平和」の広がりを願うことでしょう。であるならば、それを人間に限定してしまい、他の被造物を押しのけるようなことも避けたいと思っているはずです。しかし、この地球上で、命をもつ生きもののバランスは、わたしたちの想像を超えたような状態になっていることをご存じでしょうか。

   最近、井田徹治著『次なるパンデミックを回避せよ』(2021年・岩波書店)という本を読みました。世界人口が1950年には25億人であったのが、今や75億人を超えているという急激な変化に伴い、家畜も急激に増加している事実がこの本に記されていました。ニワトリは1961年には66億羽だったのが2017年には660億羽と10倍になり、ブタも1961年には4億頭だったのが2017年には15億頭と4倍近くになっています。このような変化の結果、2018年に米国のカリフォルニア工科大学の研究グループが発表したデータによると「地球上の哺乳類のバイオマス(生物重量)では、家畜が60%、人間の36%がこれに次ぎ、野生の哺乳類の重量はわずか4%でしかない」というのです。人間と家畜をあわせて96%という信じられないようなアンバランスの中に、わたしたちは今、生きているのです。そしてこの事実が動物由来感染症のパンデミックのリスクを高める要因にもなっています。

   7月8日相模原市で「豚熱(CSF)」感染が報告され、約4000頭が全頭殺処分されました。すでに今年に入ってから散発的に鳥インフルエンザも流行しており、その都度全殺処分がなされています。大切に飼育していらした農家の方々にとっては、胸が張り裂けそうになるような痛みを伴うことでしょう。この悲劇も上記のアンバランスと無関係ではありません。

   9月23日(木・祝)の教会修養会のテーマは、「コロナ禍にあって、改めて考える礼拝と信仰」です。ワクチン接種が進み、コロナ禍は一応収束することでしょう。しかし、根本的な対応なくしては、いたちごっこになることは目に見えています。創造主でいらっしゃる神様は、すべての被造物の「平和」を願っていらっしゃることは間違いありません。神様の痛みを無視するのではなく、コロナ禍を通して神様が教えようとされていることを受けとめる修養会を持ちたいものです。

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