牧師室の窓から 2016年11月

★11月27日から待降節・アドヴェントに入りました。伝統的な教会の暦は、待降節第一主日から始まります。昨年の待降節からの一年を振り返りますと、この一年、わたしたちの教会では6名の方々を神さまのみもとに送りました。田中昭司兄、會澤龍兄、工藤信子姉、三浦淑姉、小川信順兄、鈴木知子姉です。ストック婦人が『天に一人を増しぬ』という詩で「愛する顔平常の席に見えぬぞ悲しき」、「空しき席を見るも涙なり」とうたっていることを実感する日々でした。神さまに愛され、イスさまに従うことを喜びとし、教会に誠実に仕えた人たちの信仰を受け継いでいかなければならないことを思わされています。

★個人的にも、この一年、牧師として,牧師の妻として歩む私どものため長年祈り続けてくれた妻の母そして叔母が亡くなり、また奥羽教区で労苦を共にした同労の牧師二人が亡くなりました。さらに、被爆したのですが、奇跡的に助かり、70年間「ヒロシマ」を証言し続けた四竃揚先生と宗藤尚三先生が相次いで召されたことは、ヒロシマにこだわる小生にとって衝撃的な出来事でした。お二人共どんなにつらくても「あの日」の出来事を最後まで証言されました。

10月末に召された宗藤尚三牧師は、現在の広島教会の隣で被爆しました。爆心地から1.3キロでした。一時は出血多量で昏睡状態になった宗藤先生は疎開地になっていた庄原まで戻ったとき白血球は健康体の十分の一の800しかなかったそうです。先生の左腕には最後まで数個のガラス破片が入ったままでした。その宗藤先生が大切にしたことは、ヒロシマを証言することと教会付属の幼稚園の園長として平和教育を行うことでした。幼児期の平和教育で大切にすべきこととして、先生は「戦争とか原爆の持つ残酷さとか悲惨さを第一に教えることよりも平和の持っているほんとうの素晴らしさとか美しさとか喜びを感情体験させること」、「人間として愛し合う、理解し合うということが、いかに喜ばしい、そして素晴らしいことであるかということを経験させること」、「平和教育は何よりも人間信頼の教育であり、人間に対する愛と信頼をよびさます教育である」とおっしゃっていました。これらの言葉は先生からの遺言です。

★「すべての人に与えられた大きな喜び」であるイエスさまのお誕生を心から感謝し、皆さんとご一緒にクリスマス礼拝をささげましょう。

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