牧師室の窓から 2015年1月

★新しい年を迎えました。今年は羊年です。ブロックホルスト(1825~1907)が描いた「よき羊飼い」という絵があります。イエスさまが片手に杖を持ち、片手に子羊を抱いて羊の群れの先頭に立って歩いている絵です。長年、東京の富士見町教会の牧師をされた島村亀鶴先生が、ご子息を亡くしたとき、ある先輩の方がこの絵を紹介しながら、「この絵をよく見ると、真っ先に来た親羊が、主イエスの手に抱かれた子羊を見上げている。そして子羊を見上げている目は、主イエスの御顔をも見上げている。この親羊は、その子に導かれて、イエスの御顔を拝している」、と話してくれたというのです。島村先生は、神さまの深い御旨を示され、慰められたとおっしゃっています。 わたしたちは昨年、親しい、愛する、大切な人を神さまの御手に委ねました。イエスさまの御手に抱かれたその人を見上げ、その姿に導かれ、イエスさまの御顔を拝しながら歩む一年をと願っています。

★『わたしのヴィァ・ドロローサ』という本が出版されました。著者の村岡崇光さんは、わたしが一般の大学に在学していたときの聖書研究会のメンバーで、大学2年の時、他の大学のキリスト者7,8名と共に課外で新約聖書ギリシャ語を教えてもらいました。村岡さんはその後ヘブライ大学に留学し、博士号を取得し、イギリスのマンチェスター大学、メルボルン大学、オランダのライデン大学のヘブライ大学の教授をされました。村岡さんは、在任したそれぞれの国で私たちの国が戦争で犯した罪の大きさを知っておののき、2003年に退職後、日本の犠牲となったアジアの国にボランティアとして一年間に約五週間赴き、無償で教えさせてもらおうとし、今まで、韓国、インドネシア、シンガポール、香港、フィリピン、中国、台湾、ボルネオ、ミャンマー、タイの各神学校及びその国の聖書協会で教えてきました。村岡さんは、日本の指導者たちがそして国民が、過去の負の遺産を誠実に正視し、その決意を具体的な行動に還元していくことの大切さを繰り返し語っています。 この書と前後して、私たちの教会出身牧師の宮崎徹先生がフィリピンから一時帰国し、牧師館を訪ねてくださいました。人口二千人位の小さな村で、生活している宮崎牧師も第二次大戦下の日本の罪を負って歩んでおられることを知りました。戦後70年の本年、どのように歩むべきか、考えさせられています。

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