★1931年に発行された「賛美歌」に、由木康先生の「まぶねのなかに」が採用されることに なりました。(1931年版112番・1954年版121番)
1 まぶねのなかに うぶごえあげ 木工の家に ひととなりて
貧しきうれい 生くるなやみ つぶさになめし この人を見よ。
2 食するひまも うちわすれて しいたげられし ひとをたずね
友なきものの 友となりて こころくだきし この人を見よ。
3 すべてのものを あたえしすえ 死のほかなにも むくいられで
十字架のうえに あげられつつ 敵をゆるしし この人を見よ。
4 この人を見よ この人にぞ こよなき愛は あらわれたる
この人を見よ この人こそ 人となりたる 活ける神なれ。」
この詩に作曲を依頼されたのが安部正義先生です。安部先生はボストンに留学中、苦しい 学生生活のなかで「ヨブ記」に出会い、帰国後、ヨブの信仰の一端でも持てるようにと祈り、 それを音楽に表現したいと思い、1930年にオラトリオ「ヨブ」を作曲しました。この作曲の 直後に、「まぶねのなかに」の作曲を依頼されたのです。安部先生は「エホバ与え、エホバ取 り給う。エホバの御名は、ほむべきかな」の旋律をそのまま用いて、この讃美歌が出来ました。 まぶねのなかに生まれ、友なきものの友となりたもうたイエスさまが、ヨブのような苦しみ を担うことができる、それが安部先生の信仰でした。由木康先生のイエスさまはこういう方 だという信仰告白と安部先生の信仰告白が見事に重なり合った讃美歌ということができます。「まぶねのなかに」の曲で 「エホバあたえ エホバとりたもう エホバのみなは ほむべきかな エホバあたえ エホバとりたもう エホバのみなは ほむべきかな」と歌ってみますと、この讃美歌への愛着がますます深まります。
★次週12月2日から待降節(アドヴェント)に入ります。今、私たちの教会に連なる方々の中で、大きな苦しみ、病に直面している方が少なくありません。まさにヨブの苦しみです。どうして、と問い、とまどい、おろおろしておられます。牧師であるわたし自身、その方々と一緒にお ろおろする日々です。預言者イザヤの「どうか天を裂いて降ってください」(63:19)とい う切々とした祈りを祈る日々です。