牧師室の窓から 2024年8月

牧師 田村 博

「牧師室の窓から」                  牧師 田村 博

☆8月11日にパリのオリンピックが閉幕し、8月28日から9月8日までのパラリンピックの準備が進められています。また甲子園の高校野球が始まりました。甲子園では試合中に足が痙攣したりする選手が連日いるようです。酷暑ゆえ、競技日程や方法を見直さなければならない時が来ているのかもしれません。

 

☆教会修養会が9月23日(月・振替休日)に予定されています。今年は、外部講師として佐藤司郎先生をお迎えします。先生は、『カール・バルトの教会論 -旅する神の民-』の著者、『しかし勇気を出しなさい(カール・バルト説教選)』の編者であり、多くの書を執筆されていますが、長年、東北学院大学で教鞭をとられ、若者たちと接してこられたご経験を生かして、修養会の主題「茅ヶ崎教会百年の歩みの中で -教会って何だろう-」に沿ってわかりやすく講演をしてくださいます。茅ヶ崎教会の現会堂での宣教開始と共に始まった歴史ある教会修養会は、今年で第73回を迎えます。

 

☆牧師館2階の窓から南の方向に目を向けると、重なる屋根の向こうに松林が見えます。これらが防砂・防風林として大切な役割を果たしていることは、風の強い日に近くを歩くとすぐにわかります。それだけではありません。私たち人間にとってだけでなく、意外な生き物にとっても大切であることを最近知りました。それはウミガメです。今、平塚の龍城ケ丘プール跡地の再開発事業が進められようとしています。その際に、プール跡地の周辺の松林の一部の伐採や、コンビニ誘致も含まれているようなのです。その何が問題かというと、平塚市の海岸は、湘南地域の海岸の中で唯一、ウミガメの産卵場所なのです。ウミガメの赤ちゃんは卵から孵化すると、海に向かって命がけの行進をします。その際に、どのようにして海のある方向を認識するかというと、海の方向はかすかに明るく見え、それによって認識するそうです。それゆえ、松林が住宅地の灯りを遮ってくれることはとても重要なのです。もしコンビニの灯が砂浜から見えるところにあるとしたら、とんでもないことです。ウミガメの母親は、赤ちゃんがちゃんと海の方向を認識できる環境かどうかにしっかりと目を配って、産卵するかどうかを決めるようです。つまり、「赤ちゃんにとって不合格」であれば産卵をやめてしまうのです。かつては湘南地域の海岸のあちこちでウミガメが産卵したそうです。その最後の砦となってしまった平塚の海岸を何とかして守りたいものです。

 

  

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