牧師 田村 博
「牧師室の窓から」 牧師 田村 博
☆世界各地で地球温暖化の影響による異常気象が頻発しています。今度こそ、皆で一致して地球環境に目を向けるに違いない、と誰もが期待するかもしれません。しかし、問題はそう簡単ではないでしょう。もし、来年の平均気温が今年より著しく高く、再来年の平均気温が来年より著しく高いようなら、皆の問題意識は継続することでしょう。しかし、おそらくですが、そうならないと思います。過去の気温のグラフを見ても明らかですが、一直線に温暖化が進んでいるのではなく、ジグザグに上がったり下がったりしながら変化しているのです。前年より少しでもホッとすると、このまま何とかなるのではないかと、希望的、楽観的観測を抱いてしまいがちです。やみくもに恐れるのではなく、かといって無感覚に流されるのでもなく、事実を事実としてしっかりと受け止めることが大切です。今年度わたしたちは、「ヨハネの黙示録」と共に、信仰の歩みを継続しています。「ヨハネの黙示録」は、わたしたちの視点を「見えるところ」にとどまらせず、「見えるところ」を超えた「見えないところ」に向けさせてくれます。
☆8月第一主日は、平和聖日としておぼえて礼拝をおささげしています。今年は6日にあたり、ちょうど広島に原爆が投下された日です。広島に投下されたのはウラニウム型原子爆弾であり、8月9日に長崎に投下されたのはプルトニウム型原子爆弾でした。8月6日に広島に投下された原子爆弾は、約43秒間落下した後、高度約600メートルの上空で核爆発を起こしました。周辺の地表面は3,000〜4,000℃に達し、爆心地では最大風速440メートル/秒の爆風が発生しました。爆風は放射線状に広がり、10秒後に市街全域に到達したのです。熱線は短時間でしたが、爆心地から1キロメートルの地点の人は重度の火傷をおい、3キロメートル離れた場所にいた人でも衣服を着ていない部位に火傷を負いました。建物も大きな被害を受け、爆心地2キロメートル以内の木造建築は全壊でした。その後、熱線により大火災が発生し多くの人が亡くなったのです。原爆による死亡者数は正確にはつかめていません。広島市では、1945年(昭和20年)末までの死亡者数を14万人±1万人と推計しています。その後も、放射線被ばくのため数えきれないほど多くの方々が亡くなっています。核兵器が人類に、そして地球に何をもたらすのか、この日に起こったことを正確に振り返るだけでも、十分過ぎるほどの事実を伝えてくれるはずです。ノー・モア・ヒロシマ!
☆ドイツ第6代連邦大統領ヴァイツゼッカーは、「過去に目をつむる者は、現在も盲目であり、未来も同じ過ちを犯すだろう。」という言葉を残し、ウィンストン・チャーチル(イギリスの政治家、ノーベル文学賞受賞)は、「過去のことは過去のことだといって片づけてしまえば、それによって我々は未来をも放棄してしまうことになる。」という言葉を残しています。茅ヶ崎教会は、4年後の2027年創立百周年を迎えようとしています。わたしたち一人ひとりが、教会の歴史・主の御業の足跡に目を向けるまたとない機会です。