牧師 田村 博
☆11月19日(日)午後、藤沢教会を会場にして「西湘南地区信徒研修会」が行われました。講師は、過日茅ヶ崎教会の春の特別伝道礼拝(6/4)の午後に特別講演会の講師をしていただきました石丸昌彦先生(精神科医・放送大学教授)でした。講演の主題は「祝福とライフサイクル」でしたが、その講演の中で、石丸先生は、いくつもの示唆に富んだメッセージをお届けくださいました。その一つに、「春夏秋冬」よりも「冬春夏秋」という視点を持つことの重要性への招きがありました。「冬」から始まる「命」の営み、ライフサイクルに気づくことの大切さです。まもなく12月。色づいていた葉もすっかりと落ちることでしょう。しかし、目を凝らして木々の枝を観ると、そこにはすでに、小さな小さな「冬芽」を発見できます。しかも、日に日に成長・変化する見事な命の営みを目の当たりにすることができます。人間の命の営みにおいても同様のことが言えるかもしれません。枯れてゆくばかりのように見える「秋」と、命の営みの開始である「冬」の両者を、「一人の人間」というレベルにおいては区切ることができるかもしれませんが、キリストの体なる共同体=教会というレベルにおいて見てみると、そこには豊かな連続性が見えてきます。しばらく体調を崩して礼拝を休んでいらした一人の姉妹が、再び主日礼拝に出席することが出来たその日、「本当に皆さまに支えられていることが励みになりました。」と、皆さんの前でいつも以上に力強く挨拶をなさっていました。祈り支えられる側にとっても励みであり恵みではありましょうが、祈る側にとっても、その祈りの瞬間は、主なる神様と「命」のつながるかけがえのない恵みのひと時です。命と命が重なり合う瞬間が、確かにそこに存在します。
☆2023年度は、12月3日(日)からアドベントを迎えます。わたしたちは、12月25日の前の4つの日曜日を含む期間をアドベント(待降節)と定めていますが、教会の歴史を振り返ると、必ずしも一貫したものではありませんでした。すでに早くから成立していた「レント」と対応させるために、11月上旬あるいは中旬から行われたという記録も残されています。神様による救いの出来事を待ち望むという行為は、実は旧約聖書の時代からイスラエルの民によってなされてきました。それゆえ、アドベントの期間には、主イエスの誕生に至る出来事だけに目を向けるのではなく、メシアの預言、救いが来るという約束の言葉としての旧約聖書を熟読することを、代々の教会は大切にしてきました。週報のプログラム表記で、いつもは新約聖書の箇所に引かれていた「下線」が旧約聖書の箇所に移っていることも、決して牧師の個人的な判断なのではなく、このような教会の歴史を引き継いでいるしるしなのです。