牧師室の窓から 2015年3月

★4年目の3・11を迎えました。3月8日の礼拝に引き続いて、被災地の方々、被災教会を覚えて祈祷会を行いました。最初に「あなたはわたしの嘆きを数えられたはずです。あなたの記録にそれが載っているではありませんか。あなたの革袋にわたしの涙を蓄えてください」(詩編56:9)とのみ言葉に耳を傾け、今なお悲しみ、苦しみのただなかにおられる方々、今なお仮設住宅での生活を余儀なくされている方々、原発事故のため故郷で生活できなくなった方々、甲状腺の不安を覚えている子どもたちとその母親たち、被災した教会、再建できないでいる教会、そして放射能汚染により立入を制限され、日常活動を再開できず、再開の見通しも立っていない浪江伝道所と小高伝道所のことを覚え、祈りました。教団は、本年3月をもって救援募金を終了しますが、当教会では次年度も継続することにしました。痛みを、悲しみを負い続けたいと願っています。

★本年は、戦後70年です。日本のカトリック教会は2月25日付で司教団16名によるメッセージを発表しました。当初、8月に発表するはずでしたが、政治の動きがあまりにも速いので、危機感をもって早めに発表したそうです。その中で「戦後70年をへて、過去の戦争の記憶が遠いものとなるにつれ、日本が行った植民地支配や侵略戦争の中での人道に反する罪の歴史を書き換え、否定しようとする動きが顕著になってきています」と指摘、さらに「特定秘密保護法や集団的自衛権の行使容認によって事実上、憲法9条を変え、海外で武力行使できるようにする今の政治の流れと連動しています」と述べています。さらに「日本の中でとくに深刻な問題は、沖縄が今なお本土とは比較にならないほど多くの基地を押しつけられているばかりか、そこに沖縄県民の民意をまったく無視して新基地建設が進められているということです。ここに表れている軍備優先・人間無視の姿勢は平和を築こうとする努力とは決して相容れません」と述べています。日本基督教団と同じくカトリック教会も太平洋戦争のとき戦争遂行に協力しました。その反省から「状況は緊迫しており、今の政権の動きを非常に憂慮しています。私たちは人類が歩むべき道にともしびを掲げたい。それは、すべての宗教者がなすべきことではないかと考えます」と大司教は語っています。わたし自身、このメッセージに、心から同感し、「人類が歩むべき道にともしびを掲げる」使命を果たさなければならないことを痛感しています。

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