牧師 田村 博
「牧師室の窓から」 牧師 田村 博
☆新しい2024年を迎えました。しかし、元日の能登半島地震、翌日の羽田空港滑走路での痛ましい事故発生と、誰もが予想しなかった年初となってしまいました。日本基督教団輪島教会は、会堂、牧師館に大きな被害を受けています。また、七尾教会、羽咋教会、富来伝道所では、会堂に入ることはできるものの、水道の復旧のメドは立っておらず向こう2か月間は断水状態が続くとのことです。それぞれの教会の教会員や親族・関係者で被災された方が大勢いらっしゃいます。厳しい日本海側の冬はこれからが本番です。主の格別なお守りをお祈りいたします。茅ヶ崎教会でも、先月の「月報よきおとずれ」の本欄で、「12月18日から入院されています。主の格別なお守りを祈ります。」とお伝えしていた林正之兄でしたが、お連れ合い・淑子姉(12月8日召天)に続いて12月29日に召されました。92年8か月の地上での林兄の歩みの傍らに、いつも主イエスがご一緒してくださったことを覚え、聖なる御名を崇めます。
☆1月27日(土)に、日本基督教団横浜指路教会を会場にして「ファラデーセミナー2024」が行なわれました。初めて耳にする名前で、いったい誰が、何の目的で開催しているのだろうかと疑問を感じられたかもしれません。日本基督教団の教会を会場にしていますが、教団あるいは神奈川教区が主催したわけではありません。以前からあった催しの名前が新しくなったというわけでもありません。日本では、初めての試みであり、生まれたばかりのこのセミナーがどのように根付き、育ってゆくのか、まったくの未知数です。事の発端は、市内の日本基督教団茅ヶ崎堤伝道所の伝道師・細井宏一先生が、昨年、ケンブリッジ大学の客員研究員として渡英し、その際に「ファラデー科学・宗教研究所(The Faraday Institute for Science and Religion)」との出会いが与えられたことにあります。この研究所はキリスト教の精神に基づいて設立されたケンブリッジを拠点とする学際的な研究機関であり、科学と宗教の相互作用に関する幅広い意見との関わりを奨励し、正確な情報を提供することを目的として、ケンブリッジ大学St. Edmund’sカレッジの中に設立された研究所です。今回、その研究所の全面的な協力により、日本で初めて大阪(大阪大学中之島センター)、横浜(横浜指路教会)、東京(東京神学大学)で、英国から3名のゲストスピーカーを迎えて、英語での講演会(セミナー)が行なわれたのです。物理の教科書に載っていた「ファラデーの法則」を覚えていますでしょうか。言われてみれば「ああ、あれか」と思い出すかもしれません。マイケル・ファラデー(1791-1867)は科学者であると共に熱心なクリスチャンでした。その信仰が、多くの年月を経てもこのようなかたちで、遠い日本の地で新たな実を結ぼうとしています。科学とキリスト教信仰は対立するものでも無関係なものでもありません。日本で科学や技術分野の第一線で活躍する人々が、創造主なる神と被造物なる自然との不思議な関係に気づく貴重な機会として、この取り組みが用いられることを願っています。